病気紹介

糖尿病

はじめに

 糖尿病は、膵臓(すいぞう)から分泌される「インスリン」というホルモンの働きが不足することで、血液中の糖(血糖)が高くなってしまう病気です。
 犬や猫の中高齢(7~10歳頃)に多くみられ、犬ではミニチュア・ダックスフンドやトイプードルで比較的多く発症します。
 インスリンは、血液中の糖を体の細胞の中に取り込ませてエネルギーとして使わせる役割をしています。
 このインスリンが不足したり、効きにくくなったりすると、糖が体の中で使えずに血液中にたまり、高血糖の状態になります。

 糖尿病の原因には、

  • 膵炎や膵臓の機能低下
  • ホルモンの病気(副腎の病気など)
  • 未避妊の雌の発情後(黄体期)
  • ステロイド薬の長期使用
  • 肥満(特に猫)

 などが関係します。

 糖尿病には大きく2つのタイプがあります。

  • Ⅰ型:インスリンを作る細胞が壊れ、ほとんど分泌できなくなるタイプ
  • Ⅱ型:インスリンは出ているが、量が足りなかったり効きが悪くなるタイプ

 犬ではⅠ型が多く、生涯インスリン注射が必要になることがほとんどです。
 一方、猫ではⅡ型が多く、体重管理や食事療法で改善したり、インスリンが不要になることもあります。

症状

 血糖値が高くなると、余分な糖が尿に出るようになり、

  • 水をたくさん飲む(多飲)
  • おしっこの量が増える(多尿)
  • よく食べるのに体重が減る

 といった症状が出ます。尿に糖が出ることで、膀胱炎などの尿路感染症を起こしやすくなることもあります。
 さらに進行すると、糖尿病性ケトアシドーシスという命に関わる状態になることがあります。
 この場合、
 元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、脱水、深く速い呼吸、口から甘酸っぱいにおいがする
 などの症状がみられ、緊急の入院治療が必要になります。

 合併症として、

  • 犬:白内障
  • 猫:後ろ足がふらつく、かかとをつけて歩く

 などがみられることがあります。
 肥満の猫では、肝臓に脂肪がたまる肝リピドーシスを起こすこともあります。

診断

 糖尿病は、

  • 多飲多尿、体重減少などの症状
  • 血糖値が高い状態が続いていること
  • 尿に糖が出ていること

 を組み合わせて診断します。
 動物はストレスで一時的に血糖が上がることがあるため、
 フルクトサミンや糖化アルブミンという、過去1~2週間の血糖状態を反映する検査も参考にします。

治療

 糖尿病の基本治療は、
 毎日決まった時間に食事を与え、インスリンを皮下に注射して血糖値をコントロールすることです。
 インスリンの種類や量はその子によって異なるため、
 定期的に血糖値を測定しながら調整していきます。
(リブレなどの持続血糖測定器を使うこともあります)

 インスリンが効きすぎると低血糖を起こします。
 ぼんやりする、ふらつく、震える、けいれんするなどの症状が見られた場合は、
 ガムシロップや砂糖水を口に入れてすぐ受診してください。

 食事と体重管理
 特に猫では、低炭水化物・高たんぱくの食事と体重管理がとても重要です。
 肥満はインスリンを効きにくくするため、減量が治療の一部になります。
 犬でも、食物繊維が多い処方食を使うことで血糖の急上昇を抑えることができます。
 市販のウェットフードや甘いおやつは控えましょう。

 運動
 犬では、毎日同じくらいの運動(散歩)を続けることで、血糖値が安定しやすくなります。

 避妊手術
 未避妊の雌犬・雌猫では、ホルモンの影響で糖尿病が悪化します。
 血糖値がやや高い段階でも、避妊手術により糖尿病を防げることがあります。

獣医師から

 糖尿病は、食事・インスリン・体重管理がうまくいけば、長く良好な生活を送れる病気です。
 しかし、放置すると命に関わる合併症を起こします。
 定期的な検査と日々の管理がとても大切です。
 ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

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